プロフェッショナルの条件(ピーター・ドラッカー)

Part1 いま世界に何が起こっているか

5年前、2003年の春に読んだ。
「貢献を重視する」、「どのような貢献ができるか」このシンプルな言葉だけを判断基準にすれば、ぶれない。
どんな小さな仕事を担当しても、なにかに貢献できていることを見出し、感じることができれば、それは意味のある仕事だ。気持ちが楽になる。

以下は、5年前のノートに記したメモだ。

1章  ポスト資本主義社会への転換
 いまや、知識だけが、個人の、そして経済活動の中心的な資源である。土地・労働・資本などは二義的な要素となった。それらは知識さえあれば入手可能である。成果を生み出すために、既存の知識をいかに有効に適用するかを知るための知識がマネジメントである。知識に関するこの変化が、マネジメント革命である。経営管理者とは「知識の適用と、知識の働きに責任を持つ者」である。この知識は、成果を生むために高度に専門化されていなければならない。そして、それが知識であることを行為・成果として証明しなければならない。

2章  新しい社会の主役は誰か
 新しい社会の主役は「組織」である。知識社会は組織社会である。組織の目的は専門的な知識を共同の課題に向けて統合することである。組織は創造的破壊を行わなければ存続できないので、安定を求めるコミュニティーや家族と緊張関係にある。組織はコミュニティーを超越しているので、組織が最高の仕事をするためには、そこで働く者は自らの組織が行っていることが社会にとって不可欠な貢献であるという信念を持たなければならない。

Part2 働くことの意味が変わった
1章  生産性をいかにして高めるか
 肉体労働においても知識労働においても、生産性を上げるには「賢く働く」しかない。特に知識労働で生産性を上げるには、「何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うか。」を明らかにしなければならない。仕事を定義し直し、やる必要のない仕事はやめるべきである。目的を明確にし、目的に集中したら、仕事のプロセスを分析する。

2章  なぜ成果があがらないのか
 知識労働者は成果をあげるべく、自らをマネジメントしなければならない。知識労働者の成果とは、他の誰かがそれを利用してくれて初めて成果と呼べる。成果をあげるために四つの障壁がある。1つは時間、第2に日常業務、第3に他の者が自分の貢献を利用してくれるときにのみ成果をあがることができるという現実、第4に組織の外に対して成果が届かないということ。
 1つの重要な分野で強みを持つ人が、その強みをもとに仕事を行えるよう、組織を作らなければならない。

3章  貢献を重視する
 成果をあげるためには、貢献に焦点を合わせなければならない。「組織の成果に影響を与える貢献は何か」を自らに問わなければならない。すなわち、自らの責任を中心に据えなければならない。自らがもつ権限に焦点を合わせていたら成果は上げられない。「あなたは何をしていますか」という問いかけに対して、肩書きで答えるのではなく、「なになにを考えています」「誰々になになにを提供しています」と答えなければならない。そう考える者は、新人であっても、トップマネジメントである。
 貢献に焦点を合わせることで、組織全体の成果に注意を向けることができる。成果が存在する唯一の場所である組織の外の世界に注意を向けられる。「どのような貢献ができるか」を自問することは、自らの仕事の可能性を追求することでもある。
 知識ある者は、常に理解されるように努力する責任がある。貢献に責任をもつためには、自らの産出物すなわち知識の有用性に関心をもつ。上司・部下、他の分野の同僚に対し、「あなたが組織に貢献するためには、私はあなたにどのような貢献をしなければならないか。いつ、どのように貢献しなければならないか」を問いかける。このように貢献に焦点を合わせることで、よい人間関係を保つことができる。上下も横もチームとして機能する。

Part3 自らをマネジメントする
1章  私の人生を変えた七つの経験
1.完全を求めて、いつも失敗してきた。だから、もう1度挑戦する必要があった。という80歳になったヴェルディの言葉。自分なりのビジョンを持ち追い求める。
2.神々が見ているという意識で完全を追求する。仕事における真摯さ。
3.一時に一つのことに集中して勉強することを記者時代に学んだ。
4.新聞社の編集長から、半年に1度仕事ぶりについて話し合った。毎年夏になると2週間、自由な時間をつくりそれまでの1年を反省する。
5.新しい仕事が要求するものを徹底的に考える。それに集中する。
6.重要な決定をする際には、それによって期待できる成果を書き記し、実際の成果と比較する。自分の強みはなにか、いかなる改善が必要かがわかる。
7.人は、何によって人に知られたいかを自問しなければならない。その問いに対する答えは、歳とともに変わっていかなければならない。

2章  自らの強みを知る
 強みを知る方法はフィードバック分析だ。何かをすることを決めたら、それによって何を期待するか書き記す。1年後にその期待と実際の結果を照合する。ドラッカーはこれを50年続けている。2、3年続けると、自分の強みが明らかになる。その強みに集中する。
 自分の強みの次には、自分の仕事の仕方を分析する。もうひとつ、価値観を優先する。

3章  時間を管理する
 ・何に時間をとられているかを明らかにする
 ・自分の時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける
 ・その結果得られた時間を大きくまとめる
成果をあげる者は時間が大きな制約条件であることを知っている。

4章  もっとも重要なことに集中せよ
 行うべき貢献を分析すれば、当惑するほど多くの重要な仕事が出てくる。時間を分析すれば、真の貢献をもたらす仕事に割ける時間はあまりに少ないことがわかる。真に生産的な半日を手に入れるためには、厳しい自己管理とノーといえるだけの決意が必要である。
 やるべき仕事は多い。そのために、重要なことから1つづつ集中するべきだ。

Part4 意思決定のための基礎知識
1章  意思決定の秘訣
 1.「基本的な問題か、例外的の問題か」「何度も起こることか、個別に対処すべきことか」を問わなければならない。基本的な問題は、原則や手順を通じて解決する。
 2.決定が満足すべき必要条件を明らかにする。「この問題を解決するために、最低限必要な条件は何か」問う。
 3.初めは妥協は考えず、何が正しいかを考える。賢くあろうとせず、健全であるべき。形にこだわらずにインパクトを考えるべき。
 4.決定を行動に変えなければならない。一番困難なことだが、やらなければ意思決定したことにならない。
 5.フィードバック、検証の仕組みを作る。

2章  優れたコミュニケーションとは何か
 目標・貢献によるマネジメントがコミュニケーションの前提である。「自分はいかなる貢献を行うべきであるか」を考えながら、上司や同僚と意思疎通を図る。

Part5 自己実現への挑戦
1章  人生をマネジメントする
 組織の寿命よりも人の寿命の方が長い。第2の人生のために準備をするべきだ。いきなり新しい人生は始められない。助走期間が必要だ。本業にありながら、第2の仕事やボランティア活動など、もう1つの世界を持つことである。

3章  何によって憶えられたいか
 自らの成長に責任を持つために、「組織と自分を成長させるためには何に集中するべきか」を問わなければならない。人に信頼され、協力を得るには、自らが最高の成果をあげていくしかない。成果をあげるための第一歩は、行うべきことを決めることである。

以上