生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

出版当時の2007年夏、読売新聞の書評に、「自分の専門分野を分かりやすく説明することは難しいが、この本はそれに成功している」と紹介されていた。

確かにそうだ。

しかも、最終章を読み終えたとき、映画のエンディングを観ているような感覚があった。

DNA発見前から現在までの研究者たちの物語、著者のアメリカでの研究生活などが折り重なり、生命の不思議な強さを巧みにつづる文章に引き込まれた。

最新の技術により、ある重要なたんぱく質を除去したマウスの受精卵を作りだしたものの、筆者の予想を裏切り、マウスは、そのたんぱく質がなくても生存できるように折り合いをつけて誕生した。

端的に言って、これが、生命が機械とは違う、時間の流れのなかで動的な平衡を保つ特徴なのだ。