なぜグローバリゼーションで豊かになれないのか

どこかの経済誌の書評で、「夏休みにゆっくり読むのに最適。」との紹介に惹かれて買ってみた。価値あり。北野一さん、面白い。論理・ストーリーの展開が、金融・経済の歴史を背景に流れていく。文体も切れ味よく、「●●とは、○○だ。○○は、△△が原因だ。」と分かりやすい。

グローバリゼーションが最も進んでいるのは、金融資本(カネ)の分野だ。カネは、儲け話を探して世界中を駆け巡る。日本は人口減少で成長率が低いのに、企業は世界中の投資家から世界標準のリターンを求められ、利益を出すのに苦しみ、国民が従業員として、また消費者として苦しんでいる。

簡単な提案。企業は配当や自社株買いで、資本を投資家に返してしまえばよい。アメリカの株式市場では、発行よりも自己株買いのほうが多いとのこと。お金を返してしまえば資本効率が上り、文句を言われなくなる。株主構成を、高いリターンを求める外国人から、配当利回りを好む日本人の個人株主に入れ替えようと。

社債や借り入れで資金調達を行い投資をしながら収益を伸ばし、株主還元を増やして資本を減らしていく企業に注目だ。

キリンHD。武田薬品。JFEか。